令和の米騒動で買ったクミアイ化学(4996)の現在と今後を考察

2026-01-12

はじめに

クミアイ化学工業(証券コード:4996)は、農薬の製造・販売を主力とする化学メーカーです。 JA(農協)グループとの強い結びつきを持ち、国内農業向けの除草剤・殺虫剤・殺菌剤を幅広く展開しています。さらに、海外市場にも積極的に進出しており、アジアや欧米での販売網を拡大しています。

なぜ買ったのか

ズバリ、令和の米騒動で「農業関連株は上がる」と考えたからです。 米不足が社会問題化する中で、農業の生産性向上が急務となり、農薬や肥料などの需要が伸びると予想しました。

その中でもクミアイ化学工業は、除草剤やかん水(灌漑)分野に強みを持つ企業。 米不足が続けば、耕作面積の拡大や効率的な農業管理が求められるため、除草剤や灌水関連の需要は確実に伸びると見込みました。

「米騒動=農業需要拡大」というシナリオの中で、クミアイ化学は最も恩恵を受ける銘柄の一つだと判断し、購入に至ったのです。

購入時と現在の比較

令和の米騒動時に購入したクミアイ化学工業(4996)の株価は、2025年4月25日時点で775円でした。 当時の配当は直近実績ベースで年間34円だったため、利回りは約4.4%と高配当株として注目されていました。

しかしその後、まさかの減配が発表され、利回りは低下。株価も現在は686円前後まで下落しており、購入時から約11%の値下がりとなっています。

時点株価年間配当利回り
2025年4月25日(購入時)775円34円(実績)約4.4%
現在(2025年12月時点)686円22円(予想)約3.2%

なぜ減配に至ったのか

売上は増加:2025年10月期の売上高は前年より増えており、農薬販売自体は好調でした。

利益が急減:経常利益は従来予想145億円 → 105億円へ 約28%下方修正。最終利益は109億円 → 35億円へ 約68%減少

経常利益下方修正の原因

①主力除草剤「アクシーブ」の価格引き下げ

  • 理由:ジェネリック(後発品)が市場に出ると、同じ成分の薬剤が安価で販売されます。
  • クミアイ化学の「アクシーブ」は主力商品ですが、競合が安く売り始めるとシェアを奪われるリスクが高まります。
  • そこで価格を下げて「ブランド力+販売網」で顧客を維持する戦略を取ったのです。 → 下げないと市場シェアを失う恐れがあったため

②為替差損(円高による海外収益の目減り)

  • クミアイ化学は海外売上比率が高く、ドル建てで収益を得ています。
  • 円高になると、ドルで稼いだ利益を円に換算する際に目減りします。
  • 2025年は一時的に円高方向に振れた局面があり、為替差損を計上しました。 → 「そんなに円高だった?」と思うかもしれませんが、数円の変動でも数十億円規模の影響が出るのが輸出企業の特徴です。

③ 工場設備の減損処理

  • 減損とは「資産価値が下がったので帳簿上の価値を減らす」会計処理です。
  • クミアイ化学の場合、海外工場や古い設備で「将来の収益を十分に生まない」と判断されたものが対象。
  • 実際に工場が壊れたわけではなく、会計上の資産価値を引き下げたということです。 → これにより一時的に利益が減少しました。

④ 持分法投資利益の減少

  • 「持分法投資」とは、関連会社(20〜50%程度出資している会社)の利益を自社の決算に取り込む仕組み。
  • 例えばクミアイ化学が出資している海外農薬会社が利益を出せば、その一部を「持分法投資利益」として計上できます。
  • 逆に関連会社の業績が悪化すると、自社の利益も減る。 → 今期は関連会社の業績が落ち込み、持分法投資利益が減少しました。

今後の見通し

短期的には下落リスクが高い

  • 来週の決算発表を前に、投資家心理は慎重。
  • 減益・減配の流れが続いているため、2025年12月12日(金)の決算直後は株価が下がる可能性が高い
  • 特に市場予想を下回る数字が出れば、短期的な売り圧力が強まる展開も。

ただし、需要は底堅い

  • コメ不足は依然として解消されておらず、農業需要は継続。
  • 売上自体は伸びているため、事業基盤は安定している。
  • 農薬は景気変動に左右されにくい「生活必需型需要」であり、長期的には強み。

長期的には回復余地あり

  • アナリスト目標株価は 850円前後。現在株価686円からは約23%の上昇余地。
  • 減配も一時的なもので、利益が回復すれば配当が元に戻る可能性がある。
  • 海外展開や新製品投入が進めば、再び成長軌道に乗るシナリオも。

投資戦略として

  • 決算後に株価が下がれば、押し目買いのチャンスになる可能性。
  • 短期的な値動きに振り回されず、長期的な農業需要と配当回復を見据えると面白いかも。