イオン株(8267)急騰と暴落:高PERと適正株価の見通し

2026-01-12

はじめに

イオン株式会社(証券コード:8267)は日本最大の流通グループで、総合スーパー(GMS)、食品スーパー、ドラッグストア、金融(イオン銀行・カード)、ディベロッパー(イオンモール)など多角的に事業を展開しています。生活必需品を扱うため景気変動に強い「ディフェンシブ銘柄」としても知られています。

急騰と暴落の原因

急騰

まず、2025年10月から11月にかけてイオン株は急騰しました。その背景には、政府による食料品クーポンや給付金といった経済対策が追い風となったことがあります。さらに、半導体株が調整局面に入ったことで資金が内需株へとシフトし、消費者心理の改善やPB商品の強化が評価されました。こうした要因が重なった結果、株価は上場来高値を更新するに至ったのです。

暴落

しかし一方で、11月末から12月初旬にかけて株価は急落しました。というのも、短期間で急騰しすぎた反動が出たうえに、米国の小売指数の悪化による景気懸念が広がったためです。加えて、イオン自身の利益率改善が鈍く、赤字決算が発表されたことも投資家心理を冷やしました。さらに、大型株のリバランス売りが重なった結果、株価は約12%下落することとなりました。

加えて、中国経済の減速や日中関係の悪化が海外事業への不安を増幅させ、投資家のリスク回避姿勢を強めたことも下落要因となりました。

異常なPERの高さの要因

指標数値コメント
PER(株価収益率)約79~123倍日本株平均(15倍前後)を大きく上回り、割高感が強い
PBR(株価純資産倍率)約3.0~5.0倍小売業平均(1~2倍)より高く、資産価値に比べ株価が高い
ROE(自己資本利益率)約2.7~4.2%収益力は低めで、株価水準に見合う利益成長は乏しい
配当利回り約0.7~1.1%優待を含めた「実質利回り」が人気の背景
時価総額約5兆円国内小売業最大規模の企業価値

イオン株のPERは、2025年夏から秋にかけて50倍から150倍という異常な水準に達しました。これは日本企業の平均PER(およそ15倍)と比べても極めて高い数値です。その背景にはいくつかの要因があります。まず、株主優待人気が挙げられます。さらに、高配当期待による「実質利回り」の高さも投資家を引きつけています。加えて、DX戦略の推進(iAEONアプリ)による「イオン経済圏」拡大への期待が市場で評価されており、将来性を織り込んだ買いが続いています。最後に、生活必需品を扱う安定ブランドとしてのディフェンシブ性も投資家心理を支える要因となり、結果としてPERが異常に高い水準に維持されているのです。

適正株価は?

現在の株価は2,349円(2025年12月8日時点)ですが、理論値を指標で見てみると差が浮き彫りになります。PBR基準では1,740円PER基準では2,006円から2,428円と算出されます。さらに、アナリストの平均目標株価は1,631円と、現在株価より約32%低い水準にあります。これらを総合すると、妥当な株価水準は1,600円から1,800円程度と考えられ、現状は割高であることが分かります。

今後の見通し

短期的には下落リスクが高い

  • 株価は直近で2,522円から2,349円へ下落(約7%安)
  • 2025年2月期第3四半期決算では赤字転落が報じられており、減益・減配懸念が強まっている。
  • 市場予想を下回る数字が出れば、短期的な売り圧力が強まる可能性が高い。

ただし、需要は底堅い

  • 営業収益は増収基調で、生活必需品を扱うため景気変動に左右されにくい
  • PB商品強化やDX戦略(iAEONアプリ)による「イオン経済圏」拡大が進行中。
  • 株主優待や安定的な配当が個人投資家の支持を集めている。

投資戦略として

  • 短期的には株価下落リスクが高いため、慌てて買うより「適正水準まで下がるのを待つ」方が合理的。
  • 長期的には生活必需品需要と優待制度が支えになるため、下がったタイミングで優待目的の保有は有効。
  • ただし、業績回復が遅れると株価がさらに下がる可能性もあるため、優待目的での長期保有か、株価指標を重視して見送るかを明確に決めることが重要。