ROEとは|企業が自己資本を使ってどれだけ効率よく利益を生み出しているかを示す指標
はじめに:株価評価に欠かせない3つの指標
株価を評価する際には、投資指標と呼ばれる判断基準が使われます。 その中でも、投資初心者がまず知っておくべき重要な指標が以下の3つです:
| 指標 | 意味 | 計算式 | 投資判断の目安 |
| PER(株価収益率) | 株価が利益に対して割高か割安か | 株価 ÷ 1株あたり利益(EPS) | 15倍前後が目安 |
| PBR(株価純資産倍率) | 株価が企業の純資産と比べて割高か割安か | 株価 ÷ 1株あたり純資産(BPS) | 1倍以下なら割安の可能性 |
| ROE(自己資本利益率) | 自己資本を使ってどれだけ利益を出しているか | 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100 | 高いほど効率的な経営 |
今回はこの中でも「ROE」に注目して解説します。
※PER,PBRはこちらの記事で説明しています。
ROEとは何か?
ズバリ、ROEとは「株主から預かったお金(自己資本)を使って、どれだけ効率よく利益を生み出しているか」を示す指標です。 企業の収益性や経営効率を測るうえで、非常に重要な指標とされています。
| ROEの水準 | 解釈 |
|---|---|
| 10%以上 | 非常に効率的な経営。高収益企業に多い |
| 5〜10% | 平均的な水準。安定した企業に多い |
| 5%未満 | 効率性に課題がある可能性あり |
ROEが高いほど、企業は少ない資本で多くの利益を生み出していることになり、株主にとって魅力的な企業とされます。
具体例で理解するROE
たとえば、以下のような2つの企業があるとします:
| 項目 | ケース① | ケース② |
|---|---|---|
| 自己資本 | 5億円 | 15億円 |
| 当期純利益 | 1億円 | 1億円 |
| ROE | 20% | 6.7% |
この場合、利益は同じ1億円ですが、ケース①は少ない資本で利益を出しているため、ROEが高くなっています。 一方、ケース②は資本が多いにもかかわらず利益が同じなので、ROEは低くなります。
- ROEは「利益の大きさ」だけでなく、「資本の使い方の効率」も評価する指標
- 同じ利益でも、資本が少なければROEは高くなる
- 投資家は「少ない資本で多くの利益を出す企業=効率的な経営」として高く評価する傾向がある
ROEの注意点
- 赤字企業や自己資本が極端に少ない企業では、ROEが異常に高く出ることがあるため注意/li>
- 一時的な利益や特別利益によってROEが高く見える場合もあるので、継続的な収益性を確認すること
- 業種によって平均ROEが異なるため、同業他社と比較すること
まとめ:ROEの使い方
- ROEは「自己資本を使ってどれだけ効率よく利益を出しているか」を示す指標/li>
- 高ROE企業は資本効率が良く、株主還元にも積極的な傾向がある
- PBRやPERと組み合わせて、企業の価値や収益性を多角的に評価することが重要
外部リンク
Wikipediaの「自己資本利益率」も参考になります
財務省の法人企業統計「自己資本利益率」では、定義や業種別の推移が詳しく解説されています