一家ホールディングス(7127)徹底解説|株主優待と成長戦略

はじめに

企業紹介

株式会社一家ホールディングス(7127)は、2008年に設立された外食産業の持株会社で、居酒屋・レストラン・カフェなど幅広い飲食ブランドを展開しています。グループ全体で数十店舗規模を運営し、首都圏を中心に事業を拡大2015年に東京証券取引所マザーズ市場へ上場し、2021年には東証一部(現プライム市場)へ市場変更を果たしました。さらに、東京タワーを望むウェディング施設「The Place of Tokyo」を中心にブライダル事業も展開し、婚礼・宴席・レストラン事業を手掛けています。

なぜ今この企業を分析するのか

近年、外食産業はコロナ禍からの回復インバウンド需要の増加、さらに人材不足や原材料高騰といった課題に直面しています。その中で一家ホールディングスは、独自のブランド戦略と店舗展開で注目を集めており、投資家からも「中堅外食企業の成長株」として関心を持たれています。

加えて、同社は株主優待制度を導入しており、グループ店舗で利用できる食事優待券「明太もつ鍋セット」などが贈呈される点も投資家にとって大きな魅力です。優待利回りは高水準で、外食株の中でも注目度が高い銘柄となっています。

さらに、ブライダル事業は婚礼需要の回復に伴い売上が増加しており、外食事業と並ぶ新たな成長の柱として期待されています。外食とブライダルの両輪で事業を展開する一家ホールディングスを分析することは、株主優待の魅力+企業の将来性を見極める上でも重要です。

一家ホールディングス(7127) 株主優待内容

保有株数優待内容年間合計(参考)
100株以上200株未満2,500円分の食事優待券 × 年2回5,000円分
200株以上400株未満5,000円分の食事優待券 または 明太もつ鍋セット5,000円分相当
400株以上10,000円分の食事優待券 または 鍋セットとの組み合わせ10,000円分相当

企業概要

グループ全体の事業構造(持株会社の役割)

  • 株式会社一家ホールディングスは純粋持株会社であり、グループ各社の経営管理を担っています
  • ミッションは「あらゆる人の幸せに関わる日本一のおもてなし集団」
  • 経営理念は「お客様と喜びを分かち合う」「家族のような会社であり続ける」「夢を持ち挑戦する」

主な子会社・事業セグメント

飲食事業

  • ブランド例:「こだわりもん一家」「屋台屋博多劇場」「大衆ジンギスカン酒場ラムちゃん」「にのや」「韓国屋台ハンサム」など。
  • 首都圏を中心に直営店を展開。2025年6月末時点で直営約89店舗を展開しています。

ブライダル事業

  • 東京タワー至近のウェディング施設「The Place of Tokyo」を運営。
  • 婚礼・宴席・レストラン事業を展開。

レジャー事業

  • BBQ・ビアガーデン業態「THE SKY RESORT BBQ SOGO OMIYA」など。
  • 2025年11月開業予定の「THE BOTANICAL RESORT 林音」(茨城県植物園リニューアル)を準備中。

売上・利益のセグメント別比率(2025年3月期)

事業セグメント売上高(百万円)売上構成比率営業利益(百万円)利益率
飲食事業8,13980.7%550.7%
ブライダル事業1,94719.3%-131-6.7%
レジャー事業30.0%-27-885.6%
合計10,089100%-103-0.7%

数字から見る課題

飲食事業

  • 売上の約8割を占める基幹事業。
  • 営業利益はわずか 55百万円(利益率0.7%) と、収益性が非常に低い。
  • 原材料高騰や人件費増が利益を圧迫している可能性。

ブライダル事業

  • 売上は約2割を占めるが、営業損失131百万円(利益率-6.7%)
  • 婚礼件数は回復傾向にあるものの、固定費が重く赤字が続いている。

レジャー事業

  • 売上はほぼゼロに近い(3百万円)。
  • 営業損失27百万円と、投資先行で収益化には至っていない。

全体

  • 売上高は約100億円規模だが、営業損失103百万円(利益率-0.7%)
  • グループ全体で赤字に転落している。

財務分析

売上高・営業利益・純利益の推移(過去5年程度)

決算期売上高営業利益純利益
2021年3月期約44億円-7.3億円1.9億円
2022年3月期約84億円1.7億円0.8億円
2023年3月期約92億円2.3億円0.8億円
2024年3月期約100億円-0.7億円-1.7億円
2025年3月期(予想)約106億円3.7億円2.2億円

売上は右肩上がりで拡大しているものの、利益は赤字と黒字を行き来しており安定性に欠けます。2025年は黒字転換予想で、改善が期待されています

財務健全性(自己資本比率、負債比率)

指標数値説明
自己資本比率約30%(2024年時点)中堅外食企業としては標準的だが、借入依存度はやや高め
負債比率有利子負債が多いブライダル事業の固定資産投資が重く、財務レバレッジは高め
ROE(自己資本利益率)32%(2022年)→7%(2024年)利益変動の影響が大きく、安定性に欠ける
配当性向0%(無配)配当は実施しておらず、株主還元は優待制度に一本化
PER約139.7倍(2025年11月時点)利益水準により変動、非常に割高水準
PBR約0.84倍1倍未満でやや割安水準
ROE約0.46%利益率は低めで収益性は限定的

※PBRについては、下記の記事で説明しています。

https://miyacci-yutaikabublog.com/2025/10/29/post-83/

※PERについては、下記の記事で説明しています。

https://miyacci-yutaikabublog.com/2025/10/29/post-90/

※ROEについては、下記の記事で説明しています。

https://miyacci-yutaikabublog.com/2025/11/02/post-107/

キャッシュフローの特徴(営業・投資・財務CF)

区分特徴説明
営業CF不安定黒字期にはプラスだが、赤字期にはマイナスに転じるため安定性に欠ける
投資CFマイナス継続ブライダル施設や新業態への投資が続き、成長戦略に伴う先行投資が重い
財務CF借入依存借入金の増減が大きく、資金繰りを補うための調達が目立つ

事業戦略・強み

各事業の競争優位性

まず、飲食事業では「屋台屋博多劇場」や「ラムちゃん」など独自性の強いブランドを展開し、大衆居酒屋市場でのブランド力を確立しています。首都圏中心の立地戦略により、安定した集客力を持っています。

次に、ブライダル事業では東京タワーを望む「The Place of Tokyo」という唯一無二のロケーションを武器に、差別化された婚礼サービスを提供しています。ブランド力と体験価値が競争優位性の源泉です。

さらに、レジャー事業では「THE SKY RESORT BBQ」や「THE BOTANICAL RESORT 林音」など、体験型リゾート施設を開発し、成長市場であるアウトドア・レジャー需要を取り込みています。

M&A・新規事業

一方で、M&A戦略は積極的ではなく、既存ブランドの拡張や新業態開発を中心に展開しています。

新規事業としては、韓国屋台業態「ハンサム」やジンギスカン業態「ラムちゃん」など、トレンドを取り入れた新ブランドを次々と立ち上げています。これにより、顧客層の拡大と市場シェアの拡充を図っています。

海外展開や成長市場への取り組み

最後に、海外展開については現状まだ本格的な進出はありません。 ただし、インバウンド需要の増加を背景に、訪日外国人向けの飲食・ブライダルサービス強化が成長戦略の一環となっています。

また、成長市場への取り組みとしてレジャー事業や体験型施設の開発を進め、外食依存からの脱却を目指しています。

リスク要因

区分内容説明
業界特有のリスク規制・景気変動・原材料価格外食業界は酒類提供規制や景気後退の影響を受けやすく、原材料価格の高騰も収益を圧迫する可能性がある
グループ内の依存度特定子会社への依存飲食事業が売上の約8割を占めており、特定ブランドや子会社への依存度が高い点がリスクとなる
外部環境為替・金利・国際情勢輸入食材の価格変動や金利上昇による借入コスト増、国際情勢の不安定化によるインバウンド需要減少が懸念される

今後の展望

まず、中期経営計画や成長戦略としては、主力の飲食事業を基盤に新業態開発を加速させ、首都圏から地方都市への展開を進める方針です。ブライダル事業では婚礼需要の回復を背景に黒字化を目指し、レジャー事業では体験型施設の拡充によって外食依存からの脱却を図ります。

次に、ESG・サステナビリティへの取り組みでは、食品ロス削減や地産地消の推進、環境負荷の低い店舗運営を強化しています。さらに、従業員の働き方改革やダイバーシティ推進を通じて、社会的責任を果たす企業像を打ち出しています。

最後に、投資家・市場からの評価については、業績の不安定さから株価は割安水準にとどまっています。一方で、株主優待の高利回りが個人投資家に支持されており、安定的な成長戦略と財務改善が進めば市場評価の向上が期待されます。

まとめ

一家ホールディングスは、飲食事業におけるブランド力と立地戦略を強みとし、ブライダル事業では唯一無二のロケーションを武器に差別化を図っています。さらに、レジャー事業では体験型施設の開発を通じて成長市場を取り込もうとしています。 一方で、利益の不安定さや財務リスク、特定事業への依存度の高さが課題であり、安定的な収益構造の確立が今後の重要テーマとなります。

短期保有:優待利回りが高いため、優待狙いの短期投資には魅力的。

長期保有:業績や財務の安定性に課題があるため、優待だけを目的に長期保有するのはリスクが高い

戦略的選択:優待を楽しみながら、株価や業績の動向を定期的にチェックし、柔軟に売買判断するのが現実的。

参考

一家ホールディングス公式サイト