PBRとは|企業の資産価値に対する株価の割高・割安を見極める指標

2025-11-03


はじめに:株価評価に欠かせない3つの指標

株価を評価する際には、投資指標と呼ばれる判断基準が使われます。 その中でも、投資初心者がまず知っておくべき重要な指標が以下の3つです:

指標意味計算式投資判断の目安
PER(株価収益率)株価が利益に対して割高か割安か株価 ÷ 1株あたり利益(EPS)15倍前後が目安
PBR(株価純資産倍率)株価が企業の純資産と比べて割高か割安か株価 ÷ 1株あたり純資産(BPS)1倍以下なら割安の可能性
ROE(自己資本利益率)自己資本を使ってどれだけ利益を出しているか当期純利益 ÷ 自己資本 × 100高いほど効率的な経営


今回はこの中でも「PBR」に注目して解説します。

※PER、ROEはこちらの記事で説明しています。


PBRとは何か?

ズバリ、PBRとは「株価が企業の純資産に対して割高か割安かを示す指標」です。 企業が持っている資産(自己資本)に対して、株価がどれだけ評価されているかを測ることができます。

初心者がまず知っておくべきPBRの水準は以下の通りです:

PBRの水準解釈
1倍以下割安の可能性(資産価値より株価が低い)
1倍~1.5倍平均的な水準
2倍以上割高の可能性(将来の成長やブランド価値が織り込まれている)

PBRは倍率が低ければ割安、高ければ割高とされますが、企業の成長性や業種によって適正水準は異なります。


 具体例で理解するPBR

たとえば、以下のような2つの株があるとします:

項目ケース①ケース②
株価1,000円5,000円
1株あたり純資産(BPS)800円2,500円
PBR1.25倍2倍

この場合、ケース①は資産価値に対して株価がやや高めですが、ケース②は純資産の2倍の株価がついており、成長期待やブランド価値が強く反映されていると考えられます。


注意点


ここまでの説明だけでは、「PBRが低い株=割安」「PBRが高い株=割高」と思いがちですが、それは一面的な見方です

  • PBRが低くても、業績が悪化している企業や、資産の質が低い企業であれば、株価が低くても当然
  • PBRが高くても、ブランド力・技術力・将来の収益性が高く評価されている企業であれば、株価が高くても妥当な場合がある
  • * 特に、IT企業やサービス業などは資産が少なくても高収益を上げるため、PBRが高くなりがち


つまり、PBRだけで判断するのではなく、PERやROEなど他の指標と組み合わせて総合的に判断することが重要です。


まとめ:PBRの使い方

  • PBRは「株価が企業の純資産に対して割高か割安か」を判断するための基本指標
  • 1倍以下なら割安の可能性あり。2倍以上なら割高とされることが多い
  • ただし、業種や企業の成長性によって適正PBRは異なるため、単独で判断しないこと
  • 他の指標(PER・ROE)と組み合わせて、企業の価値を多角的に評価するのがベスト